2007年01月01日
おなか
「ねぇ、おなか見て・・・」
彼は、
話してはいけないルールなのに
言ってしまった。
見ると
彼のおなかは大きくなっていた。
「・・・・・。」
私が何も言えずにいると、
「静かなところで話したい。」
と彼は言って、
私の手を取り連れ出した。
そして、
「僕は妊娠した。」
と言ったんだ。
2007年01月02日
マンホール
歩いていたら、
突然目の前が真っ暗になった。
そして、
湿った場所で尻を打った。
遠くで、
サイレンがなっている。
早いなぁ
もぅ助けにきてくれるのか、
と考えていたら
通り過ぎて、行ってしまった。
どこにいるのだろう?
どこからか水が流れてきて、私も流された。
でも予想外に、桃太郎の冒頭に出てくる
どんぶらこ
どんぶらこっこ
といった具合に流れていった。
随分多くの時間が流れた。
3週間ぐらいだろうか?
時間をたどるのは難しい。
とにかく、同じ場所へ戻ってきた。
ちょうど、誰かが落ちてきた。
2007年01月03日
2007年01月04日
未来のおつり
自転車で、
ストーブ用の灯油を買いに行った。
私は病み上がりであることをすっかり忘れていた為に、
帰りは重くて自転車に乗れなかった。
それで、
思い切ってガソリンスタンドの人に
「車を貸してください。」
とお願いしたら、
軽トラを貸してくれた。
それから
灯油代を払いに行ったら、随分まけてくれた。
喜んで車の所へ戻ると、
車がなかった。
ここじゃなかったかもしれない・・・
捜し回ったが、
やっぱりなかった。
諦めて、
乗ってきた自転車の所へ戻ったが、
その自転車もなく、
買った灯油もなくなっていた。
そして、
はじめから
そうであったかのように
ガソリンスタンドもなかった。
2007年01月05日
未来種
ケーキ作りが大好きだ。
でも、
この間から、
何度作っても、
生成り色の幼虫が5・6本入っている。
他人に話すのは
気恥ずかしいが、
僕は
“既婚者お菓子作りサークル”
に入っている。
もちろん、サークルの名前に
“既婚者”
など付いていない。
入ってる者が、
みんな既婚者。
それだけのことだ。
それにしても生成り色の幼虫・・・
初めは見間違いかと思った。
でも、
この間
新しく入った男が、
「動いてる・・・」
と言ったのだ。
2007年01月06日
2007年01月07日
2007年01月08日
踊り場
私は、階段の踊り場に住んでいる。
ここは、日のあたる部屋。
ここで横になっていると、壁にこじ開けた跡を見つけた。
気になって
ガリゴリ・・・
ガリゴリ ガリゴリ
と手でこじ開けた。
すると、その奥には
“踊り場部屋”
があった。
おかしなことをするやつが他にもいたのだ。
2007年01月09日
豆
駅のトイレに入った。
個室を開けると、
和式便器いっぱいいっぱいの大きな豆があった。
見間違いかと思って、
目を擦り、
目を凝らし、
トイレから出たり入ったりして、
何度も見たけど、
それは
やっぱり豆だった。
2007年01月09日
2007年01月09日
2007年01月10日
魚
「これくらいの距離で?」
「それも違う。違うわよ。」
「欲しい!欲しい!滅多にないもん。」
私は深呼吸した。
今あまり調子が良くないから・・・
「また明日にしようよ!」
「あんた、機嫌が悪いわ。何か食べたら?」
「実は私、水の中が好きじゃあないのよ。」
「あんた、おもしろい女だね。あんたと話してると、自分が大嘘つきみたいに思えてくるよ。」
2007年01月11日
穴
ある日、飼っていた大きなナマズがいなくなった。 調べによると、何者かの手で、例の浅くなった大河で逃がされたという。
そこで、その大河へ人を大勢連れてやってきた。網のない網で必死に捕まえ、水槽に戻すが何度やっても駄目だった。
すると、近くにいた爺さんが、
「一度出た住みかには戻らんよ。」
と言った。
それなら・・・
「穴を掘れ!」
と皆に叫んだ。
それでも、なかなか上手くいかない。そして、穴はどんどん深くなっていった。
2007年01月12日
蛸男
帰宅時間の混み合った
駅の改札付近の階段で、
手摺りを手の甲で触る。
前を行く人のリュックを揉み、
そのチャックで遊び、
尻を拭き、
靴に当たるように足先を振る。
後ろの人の手を軽く摘み、鞄と靴を手で、
スカートの裾を足で遊ぶ。横の人の服と買い物袋をガサガサ触る。
同時にだ!
そして誰も気づかない。
2007年01月13日
電話
電話が鳴っている。
でも、家の電話でも、今使ってる携帯電話でもなかった。
それで、音を辿っていくと、洗濯機がなっていた。
何なんだ?
とにかく、訳のわからないまま
いろんなボタンを押しまくっていると、
突然洗濯機から、
「あんた!
いつまで荷物を預かってりゃいいんだ!」
と随分怒った老女の声がした。
誰だろう・・・
わかった!
学生時代に、
夢のなかで住んでた安アパートの管理人のお婆さんだ!
2007年01月13日
2007年01月14日
村
私は、土で造った家が数件並んだ砂漠のなかの小さな村に住んでいた。
ある日、物凄く大量の飛ぶ刺す蟻が現われた。
それは、全長5cm以上の信じられない大きさで、アメリカ空軍機並みのスピードで飛んでいた。
そこで、私たちは地下に住むことにした。
掘って、掘って・・・・・
地下に小さな村を造った。
そこは、とても素晴らしい村になった。
今では地下に、たくさんの村がある。
2007年01月14日
2007年01月15日
王子
電車に乗って、椅子に腰掛けた。
向かいに座っている中年女性が、サンダルから小指だけをハミださせ、スケッチブックを睨み付けていた。
突然、その女性は全体が無色透明の自分の鞄から、アルミ製の容器に入った12色入りの色鉛筆を取出し
「王子200」
とメモして、空にかざした。
2007年01月16日
2007年01月16日
世界は陸続き
電車に乗れば、どこへでも行ける。
この間、友だちと近くに行くような格好で、電車に乗った。その車内で、
「あれが淡泊で、よく面倒なことになるのよ。」
と相談していたら、近くに座っていた中年男性が降りてしまった。
彼は、日本語が理解できていたのだろうか?
それから、友達の側に座ってる若い男がボディランゲージで、
何をしゃべってんのか?
という風に巧く聞いてきたけど、内容を詳しく教えるのは面倒だから、
「ジャパニーズ」
とだけ言った。
すると、英語で色々聞いてきた。
ヨーロッパの人やって!
って話をしてたら、
おもちゃみたいな街が見えてきた。
2007年01月17日
たま
「今日、うちで鍋でも食べないか?」
と言うので遊びに行った。
二人で支度していると、
「ポン酢を切らしてるから買ってくる。」
と言って、その人は出掛けて行った。
野菜を切りながら待っていたが、
すぐ切り終わってしまったので、
勝手に部屋を見て回ることにした。
この家は、思った以上に広かった。
ある部屋に入ると、
部屋の真ん中に
脳みそ
のようなものがあった。
その中を蛍光の緑色した
“たま”
が少しづつ動きながら光っていた。
2007年01月17日
2007年01月18日
きらびやかなシャンデリア
家族っていいなぁ・・・とぼんやりしていたら日が沈みかけてきた。
それは鳥おじさんが、鳥サイズの巨大な蝶に戻る時間です。
今が変わらなくても、このままを受け入れるだけで楽になるなんて知らなかった。
もう少し、若い頃に知りたかったなぁ。
あちこち飛び回っていたら、心打つ歌声が聞こえてきた。
2007年01月19日
嘘
最近、私は笑ってばかりいた。
彼の嘘に気づいて、まるで雨が止むように笑いが止まった。
あれ?
あの空に差す光は何?
何か見てはいけないものを見てしまった気がする。 すると、知らない内に、知らない少女が近くにいて、あの光じゃなく、私を見上げていた。
彼女は、何でも知っているみたいだった。でも私は本当のことを知りたくなかったから、何も聞かなかった。彼女から何か話すこともなかった。
そして、また空を見上げた。もう彼女は傍にいないと知りながら。
もう、何も気にしないことにした。
2007年01月20日
トイレ
便意をもよおした。
トイレを探す。
大きな建物を発見した。 ここならトイレがあるだろう。
その建物は、近づいてみると・・・・・
なんと体育館ほどの大きさだった。
中へ入ると、トイレだらけだった。
洋式・和式・水洗・汲み取り式・・・・・
高さも色々で、数年前に中国で見た様な溝だけのものや、壺、女性用立ち小便器もあった。
もう、何百戸あるかわからない。一つ一つ見ていくが、すべて排泄物で一杯になっていて、使えない。
でも、不思議と匂いがなかった。
2007年01月21日
シュガートレイン
私は高山に住む家に下宿している。
ある朝、一家で飼っているシマウマが子どもを産んだ。
その家の13歳の娘が生まれたばかりのシマウマに酸素マスクを付け、自転車の前籠に載せていたので
「なんで?」
と聞くと、
「この子を頂上に連れていく!」
と言う。心配なので、私も酸素マスクを付け、二人乗りした。
「お父さんが先に出てるわ!急ごう!」
と彼女は言って、猛スピードで出発した。彼女は上手く運転したから怖くなかったけれど、物凄い崖も凄い勢いだった。
しばらく行くと、雪道になりだした。
すると急に大きくて長い、車のようなスピードで動く甲殻類のようなものに出くわした。
物凄い恐怖だった。
彼女は、とにかく上手く避けたが、先からどんどん巨大生物らしきものが来る。またもや車のようなスピードだ。
そして何十頭も通り過ぎた頃、一頭が突然
幕(皮?)がめくられ、中に何人か乗っていて
タイヤもついていた。
2007年01月22日
宿
安宿が見つからない。
近くにいた知らないおばさんが、
「家に泊まっていきな。」
と言ってくれた。勇気がいったが、お言葉に甘えることにする。
おばさんは一人暮らしだった。そして、大きな家に住んでいた。
「どの部屋を使ってもいいよ。」
と、おばさんは言うけど、どの部屋も一人で寝るには怖すぎた。とにかく部屋を選んで寝ていたら、部屋に男が入ってきた。
おばさんは、おじさんだったんだ!
と思ったところで目が覚めた。
どこから夢だったんだろう・・・
辺りを見回すと、夢の中と似た怖い部屋に一人で寝ていた。
2007年01月22日
狩人
山を歩いていた。
そこにあるとわからない場所に、聖母マリアに似たお地蔵さんがあった。なんだかバツが悪かったから、すぐ傍に落ちて半分黒くなったバナナを2本供えた。 すると、近くを制服を着た少女が走って山を降りるのが見えた。
彼女が行った方へ行くと・・・
山を降りているはずだったのに、気付くとビルの階段を降りていた。
階段の踊り場の長椅子に、山を降りる前に見た少女の鞄を見つけた。鞄を開けると、大量の現金が入っていた。誰かに見つからないうちに、金をポケットに詰め込み始めるが、いっぱいありすぎて終わらない。
人が来るのでは!?
と焦る。
見上げると、さっきのお地蔵さんがいた。
2007年01月22日
息抜き
仕事の合間に街に寄った。
着いたのは夜だけど、明日の朝にはここを発つ。まずは仕事仲間5人で屋台に座り、酒を飲み、つまみを頼んだ。
外に立ってるボーイ達は、どの店からでも買ってきてくれるし、下手な手品もしてくれた。軽く酔ったところで、皆で買い物へ出掛けた。
まだまだ店は開いている。
途中から、それぞれ別行動することになった。
私は一人でブラブラした。
なんて楽しい街なの!
そして、世間は狭い。
さっきのバーで仕事仲間の男を振った女に遭遇し、別行動していたはずの仕事仲間にナンパされた。
あぁ、喉乾いた。もういいや。
朝になった。
全員集合し、次の仕事場へ向かった。